











Chapter 01
製作の道から、まさかの照明の道へ
「小中高はずっと野球一筋。高校卒業後は美術系の学校へ進学して、家具をメインに製作活動をしていました」と話すのは、2012年に入社した照明係の室伏さん。学生時代は製作活動に加えて、サークル活動のストリートダンスにも力を注いだといいます。「年に数回、発表会があったので、自分たちで舞台準備をすることもあって。舞台の製作も面白そうだなとは思っていたのですが、当時はそこまで深く考えていなかったです」と笑います。舞台業界について調べ始めたのは就職活動のとき。そこで、宝塚舞台が製作から公演までバックステージを総合的に行っていることを知ったといいます。「採用試験への申込のタイミングで希望部署を3つ聞かれるんですけど、実は第1希望は製作大道具係、第2希望は公演大道具係で、照明係は第3希望だったんです(笑)」と室伏さん。就職先が決まってホッとしつつも、配属はまさかの照明係。「正直、焦りました。照明については全く学んでこなかったので…」と当時を振り返ります。
Chapter 02
初めての調光は緊張で指が震えた
特に苦労したことを尋ねると、「苦労したこと…いやもう全部ですね。苦労だらけでした。周りの同年代は照明を専門に学んできた人ばかりで、ベースとなる知識がとにかく足りなかったので、自分で調べきれないところは先輩によく聞きに行っていました」と室伏さん。入社後すぐは、袖で舞台装置の転換に伴い照明機器や電飾の配線などを行う“ステージ”というポジションで、舞台の流れと照明の基礎を身体に染み込ませた。「覚えることは多かったですが、ステージの仕事はとても楽しかったです。特に転換の仕組みを考えたり、ベクターワークスで図面に起こしたりするのが好きで、もっぱら“光”よりも“仕組み”の方ばかり考えていました」と室伏さん。そして2年半後には照明電飾システムと映像機器を操作する“調光”のポジションへ。「最初に調光室に入ったときの記憶はほとんどありません。台本に合わせてキューを進めるボタンを押すんですが、指は震えるし、手のひらは汗でびっしょり(笑)。舞台の動きを見ながらやらなきゃいけないのに、台本ばかり見ていて怒られました」。
Chapter 03
失敗したって次に活かせばいい
そんな緊張の日々も、調光室へ配属後1~2年ほどで落ち着き、勤勉な性格も相まって着実に実力をつけていった室伏さん。「全国ツアーの担当を任せてもらったときは嬉しかったです。宝塚歌劇団の演出家からのイメージを元にプランをつくるんですが、提案したプランを褒めていただいたときには、小さくガッツポーズしました」と室伏さん。全国ツアーは会場のサイズも様々。「東京宝塚劇場だと厚いガラスと壁であまり分からないんですが、小さめの会場だとお客様の拍手がここまで届くんです。その音圧をシャワーのように全身で浴びると、大変だったけど頑張ってよかったって思います」と笑います。今では照明係でも中堅どころになり、後輩も増えたという室伏さん。「最近になってですけど、後輩の意見を一度受け止めて、“失敗してもいいから、まずはやってみよう!”って言えるようになりました。舞台本番は絶対に失敗できないので、全部は難しいですけどね(笑)」。たとえ失敗したとしてもチャレンジした経験は本人の糧になる。その経験を次に活かせばいい。新人時代、目の前の仕事に一つひとつ取り組み、たくさんトライ&エラーをしてきた室伏さんだからこそ言える言葉だろう。
time schedule
タイム
スケジュール
<平日1回公演の場合>
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11:40
出勤・システム立ち上げ
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12:00
システム・スピーカーチェック
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12:30
舞台機構、照明&電飾点検
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13:05
全体ミーティング
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13:20
最終チェック
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13:30
開演 公演業務
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15:00
第1幕終演後、第2幕の照明・電飾チェック
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15:30
開演 公演業務
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16:30
終演後システムダウン、係でのミーティング
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17:00
退勤
※平日2回公演の場合は、休憩をはさみ18:00公演、21:30退勤
<土日2回公演の場合>
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09:10
出勤・システム立ち上げ
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9:30
システム・スピーカーチェック
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10:00
舞台機構、照明&電飾点検
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10:35
全体ミーティング
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11:00
開演 公演業務
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12:30
第1幕終演後、第2幕の照明チェック
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13:00
開演 公演業務
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14:00
終演後、次の公演準備、適宜休憩
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15:30
開演 公演業務
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17:00
第1幕終演後、第2幕の照明チェック
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17:30
開演 公演業務
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18:30
終演後システムダウン、係でのミーティング
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19:00
退勤
meaasege
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メッセージ
僕の経験を踏まえて言うと、全くの未経験者でも大丈夫(笑)。最初は覚えることが多くて大変かもしれませんが、目の前のことに一つひとつ一生懸命取り組んでいれば、技術力は必ず後からついてきます。