











Chapter 01
母の手づくりが嬉しかった
「物心がついた頃からお裁縫が好きで、小学生の頃はフェルトでカードケースの小物を作ったりしていました。裁縫好きになったきっかけは母。“裁縫は苦手”って言いながらも、学校に持っていく給食袋をつくってくれたことが嬉しくて、今でも覚えています」。そう話すのは2015年入社、衣裳係の功刀(くぬぎ)さん。高校卒業後は服飾系の学校へ進学。デザインを中心に学びながら、ファッションショーや文化祭では自身で製作することもあったといいます。「そこで自然と“舞台やステージなどの衣裳をお仕事にできたらいいな”って。同級生はアパレルに進む子も多かったんですが、私はデイリーユースのお洋服ではなく、“作品として残る”衣裳がつくりたかった」と功刀さん。ブライダルや舞台、ステージ系の衣裳を製作する会社を探したといいます。「何社か採用試験を受けていくなかで、宝塚舞台の面接で“ここだ!”ってピンときたんです。面接官の人たちの雰囲気も良くて、“この人たちと働きたい”って思いました」と当時を振り返ります。
Chapter 02
衣裳係は意外と体力勝負
「ただ、舞台って失敗すると取り返せないから、現場はピリピリして怒号が飛び交っているんじゃ…って入社前は少し不安でしたが、全然そんなことはなかったです(笑)。チームワークを大切にしていて、アットホームな雰囲気に安心したのを覚えています。それよりも苦労したのが体力面でした」と功刀さん。1公演で使う衣裳の数は芝居だけでも約200点、ショーは約400点に及ぶこともある。たっぷり装飾がついた衣裳は重く、出演者の着替えをサポートする衣裳係も体力勝負だ。「踊っているうちにドレスがズリ落ちないように締め上げるんですが、それが十数人にもなると大変。ドレス自体も分厚くて、メンテナンスのために針を通すこともままならなかったです。お家で毎日腕立て伏せをしたり、ハンドグリップで握力を鍛えたりしていました」と当時を振り返って笑う。「あと、人見知りだったので声も小さかったですね(笑)。舞台って危険と隣り合わせなので、危ない時にパッと声を出せないといけないんです。なので、声を出す練習もしていました」と功刀さん。
Chapter 03
厳しい条件下であるほど燃える
通常公演では出演者80名に対して、衣裳係が15名ついて早着替えをサポートする。「1分程度の早替わりはよくあることで、短い時では20秒!なんてこともありました。出演者とのチームワークや信頼関係が大切なんです。大勢の早替わりの際は、衣裳係1人で5~6名くらいを担当し、少しずつ時間差をつけながら各アイテムを着せ替えていきます。出演者が自分でシャツのボタンを留めている間に、隣の人、また隣…とシャツを着せていき、最初の人に戻ってジャケットを着せていく…、その間にはドレスを着る人もいたりと作品によって様々です。段取りを考えながら出演者に声をかけ、次々と着せ替える中で、出演者と息が合い、きれいな姿で舞台に送り出せた時の達成感は、毎回たまりません」と功刀さん。また、全国ツアーや外部公演では衣裳係1名で8名の出演者を担当することも。加えて、狭い簡易更衣室しかない会場がほとんどだといいます。「みんなで“せま〜い!”って言いながらやっています。でもそういう厳しい条件下の方が、逆に燃えるんですよね(笑)。与えられた場所で自分ができる最高の仕事をするのがモットーです」と功刀さん。「社歴も衣裳係の中で中堅になり、自己研鑽だけでなく後輩育成も頑張りたいと思っています。でも指導するには、私自身が経験と技術をしっかり身につけていないとだめ。みんなが“あの人みたいになりたい”と目指してもらえるような人材になりたいです」。そう話してくれた。
time schedule
タイム
スケジュール
<平日1回公演の場合>
-
12:00
出勤・掃除・メンテナンス等
-
13:05
全体ミーティング
-
13:30
開演 公演業務
-
15:00
第1幕終演後、次の公演準備、適宜休憩
-
15:30
開演 公演業務
-
16:30
終演後、衣裳の点検・メンテナンス、片付け
-
17:00
退勤
※平日2回公演の場合は、休憩をはさみ18:00公演、21:30退勤
<土日2回公演の場合>
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10:00
出勤・掃除・メンテナンス等
-
10:35
全体ミーティング
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11:00
開演 公演業務
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12:30
第1幕終演後、次の公演準備
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13:00
開演 公演業務
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14:00
終演後、次の公演準備、休憩
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15:30
開演 公演業務
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17:00
第1幕終演後、次の公演準備
-
17:30
開演 公演業務
-
18:30
終演後、衣裳の点検・メンテナンス、片付け
-
19:00
退勤
meaasege
求職中の方に
メッセージ
東京宝塚劇場の衣裳係は公演業務が中心で、服飾系の学校出身ではない方も多いです。一人ではできない仕事なので、チームワークを大切に、周りと協力してお仕事をできる方が向いていると思います。最初は覚えることが多いですが、先輩がしっかりとサポートするので安心してください!