毎日新しい課題に
出会えて刺激的
生涯現役で
ものづくりをしたい

#07

劇場部 宝塚公演課
小道具係下農 直幸

scroll down

Chapter 01

舞台と無縁のくらしから一転

「ものづくりが好きで、学生時代は彫刻などの立体造形を学んでいました。実は入社するまで宝塚歌劇は一度も見たことがなかったです。」そう笑いながら話してくれたのは、2006年入社の下農(しもの)さん。舞台の世界観を演出する上で欠かせない小道具係に所属している。 「就職活動の際は“ものづくりができたらいいな”とぼんやりと考えていたくらい。2学年上の先輩が宝塚舞台に入社していたので、ちょっと受けてみるか…くらいの軽い気持ちでした。だから、筆記試験で宝塚歌劇についての設問が出たときには、落ちたな…と思いましたね(笑)。」と当時を振り返ります。 舞台とは無縁のくらしから一転、入社後のギャップはなかったのだろうか?

Chapter 02

強度と軽さを求めて、ミリ単位で調整

「小道具という名前から、銃や剣などの手持ちサイズのものの製作を想像していたので、机などの大きな家具も担当することと、公演業務があることは少し驚きました。」と下農さん。 小道具係は入社してすぐは公演業務を担当する。 公演業務を通して“舞台でどのように小道具が使われているか”を自分の目で見てはじめて、どのようにつくれば出演者が使いやすいか、自分たちが運用しやすいかが分かるからだ。 「宝塚は出演者が全員女性なので、銃や剣一つとっても“重さ”がネックになってきます。持つだけでなく、そのまま歌ったり踊ったりしますからね。さらに、宝塚大劇場と東京宝塚劇場の約3か月間の公演の間、使い続けられる強度も必要。“軽さと強度”は僕たちの永遠の課題です。」と下農さん。 軽さをとると壊れやすく、強度をとると重くて扱えない。どちらも担保できる塩梅をミリ単位で探りながら、世界観も表現するのは骨が折れる作業だろう。

Chapter 03

生涯現役でものづくりの現場に

小道具係は宝塚舞台の製作系の係のなかで唯一、デザインを担当できる係だ。コーディネーターといって、公演につき1名選出され、演出家との打ち合わせからデザイン出し、予算管理、初日から千秋楽までの公演のオペレーションを担当する。用意する小道具は、新たに製作するもの、購入するもの、リメイクするものなど含め、数百点にも及ぶという。 「初めてコーディネートを担当したのは2011年でした。いつかはコーディネーターをやりたい!とは思っていたけれど、いざ担当するとプレッシャーは半端なかったです。」と下農さん。和物の作品だったため、打ち合わせで出てくる道具の名前や、色の指定が初めて耳にするものもあったと言います。 「行李(こうり)など、現代ではあまりなじみのない物もあり、製作では苦労しました。パリと日本を行き来する作品だったので、両国の資料を調べながらつくったことを覚えています。」と当時を振り返ります。技術は手を動かすほどに上達するが、知識は自分で取りに行かなくてはいけない。多種多彩な演目を行う宝塚ではなおさらだろう。提案の幅を広げられるよう、様々なカテゴリーの映画や資料を見て、引き出しを増やしたと言います。 「でもね、20年近く小道具をしていますが、いまだに打ち合わせの時に聞いたことのないワードが出てくるんですよ(笑)。本当に刺激的で勉強の毎日です。新入社員の子達にもこの楽しさを感じてほしい。これからも現状に満足せずに、生涯現役でものづくりの現場にいられたら嬉しいですね。」。そう話す下農さんの横顔は、希望に満ち溢れていた。

time schedule

タイム
スケジュール

<1回公演の場合>

  • 09:30

    出勤・係でミーティング 製作作業

  • 10:00

    公演のための道具点検・掃除

  • 11:00

    製作作業再開

  • 12:00

    昼休憩

  • 12:50

    公演準備

  • 13:00

    第1幕開演 公演業務

  • 14:30

    第1幕終演後、第2幕に向けてセットチェンジ
    適宜小休憩

  • 15:00

    第2幕開演 公演業務

  • 16:00

    終演後、片付け
    製作作業再開

  • 18:10

    片付け

  • 18:30

    退勤

meaasege

求職中の方に
メッセージ

舞台を見たことがない、ものづくりをしたことがない人でもやる気があれば大丈夫。舞台の知識や技術力は入ってからいくらでも身につけられます。小道具は演出家との打ち合わせからデザイン、製作、公演業務まで携われますし、外部公演業務で出張することも。マルチに色々できる係なので、毎日飽きることがありませんよ!

[an error occurred while processing this directive]