











Chapter 01
落語家のマネージャーか、
宝塚の製作
スタッフか
「学生当時は“変わったこと”がしたいと、芸術系の学校で陶芸について学びながらオブジェや器をつくっていました。でも、卒業後は陶芸を続けたいという考えはなくて。就職課に出した希望は“変わっている求人”でした」。そう話すのは2010年入社、事業部製作課で大道具を製作している髙吉 康太さんだ。「そこで出てきたのは、落語家のマネージャーか宝塚舞台の製作スタッフの2つ。今思うと、なんとも極端な2択ですよね(笑)。そこで選んだのが宝塚舞台でした」と笑います。髙吉さんが所属する事業部製作課は、宝塚⼤劇場、東京宝塚劇場以外の外部劇場で⾏われる特別公演の舞台セットを中心に、美術館や展示場から依頼される製作物なども担当。ヨーロッパのお城の舞台装置をつくった翌日は、エジプト展のフォトスポット用のピラミッドをつくったり、バレンタイン催事のチョコのモニュメントをつくったりと製作の幅はかなり広い。「そんな仕事内容を聞いて、日々つくるものが変わるなら飽きずに続けられるんじゃないかなって。親が建築の仕事をしていたこともあり、漠然とですが大工仕事が身近だったことも背中を押してくれました」と話します。
Chapter 02
試行錯誤する
時間が好き
入社後に担当したのは、宝塚の外部公演。宝塚大劇場、東京宝塚劇場以外の会場で行われる宝塚公演の舞台装置の製作業務はもちろん、舞台装置の現場搬入、建て込み、撤収も行なっているといいます。「外部公演の場合は期間も短いので、搬入・建て込みは1日のみということがほとんど。撤収に至っては千秋楽後、その日中に完了させる必要があるので、スピード感を求められます」と髙吉さん。搬入・搬出には、宝塚舞台のスタッフだけでなく、協力会社のスタッフやアルバイトなども動員されるため、誰が扱っても壊れない“丈夫さ”と、舞台にあった“軽さ”、また使用するエレベーターや入り口のサイズなど、“搬出入の動線”も考慮した製作が求められるといいます。「最初にデザインのオーダーはいただきますが、どうやってつくるかは任せられているんです。どんな構造にするのか、搬入トラックに載せるときにどこで分割するのか、安全に持ち運べるようにどこまで補強するか。色々な条件を考慮しながら、どう土台をつくるのか思案している時間が、一番好きですね。方向性が決まったら手を動かすだけです」と髙吉さん。そして、入社5年目には外部公演のメイン担当を任せられ、公演大道具チーフをはじめとした他のチームとの調整役もこなすように。「社内ではまだ若手だったので、各チームの大先輩方との打ち合わせはめちゃくちゃ緊張しました(笑)。でも、製作の代表としてきちんと意見を尊重してくださったのがありがたかったです。」と当時を振り返ります。髙吉さんたち大道具製作が担当するのは装置のベースであって、彼らだけでは舞台をつくることはできない。背景係の美しい彩色、電飾係の煌びやかな光、そしてそれらの装置をスマートに動かす公演大道具…。「僕たち製作課が道具をつくって終わりではないんですよね。色々な人の手を通って、初めて舞台ができる。」と続けます。
Chapter 03
毎日が
やりがいの連続
舞台装置の製作だけでなく、各チームとの調整や搬入・搬出・建て込みと、日々目まぐるしく動いている髙吉さんに、一番やりがいを感じる瞬間について尋ねてみた。
「うーん…難しいですね(笑)。メインでつくっていた大道具ができあがったとき。他のチームと調整していた各パーツが最後にカチッとキレイに合わさったとき。他のチームのリクエストにしっかり応えられたとき。みんなでつくった大道具が公演で動いているのを見たとき。毎日がやりがいの連続です。」と笑います。特別公演の製作の合間には、美術館やイベントの展示を手伝うこともあるという髙吉さん。「学生時代によく行っていた兵庫の陶芸美術館の展示をさせてもらったり、この前は大阪・関西万博の展示物を作成させていただきました。皆さんがよく知っているあの人気者の展示なんかも!よく、つくるものが日々変わるのって大変じゃない?って聞かれますけど、僕は逆に楽しいんです。ここまで飽きずにずっと続けてこられたのも、事業部製作課だからかも。」と振り返ります。“なんか変わったことがしたい”、そんな想いで飛び込んだ宝塚舞台。日々舞い込んでくる、様々なオーダーにワクワクと取り組む髙吉さんの姿を見て、つくり手のワクワクが見る人の心も震わせているのだなと感じた。
time schedule
タイム
スケジュール
<関西圏の外部劇場で千秋楽の場合>
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09:30
出勤・朝礼・連絡事項の共有等
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09:45
製作作業
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12:00
昼休憩
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13:00
製作作業再開
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16:00
撤収会場へ移動
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17:00
会場到着後、待機、小休憩
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17:30
公演終演後、撤収作業
-
21:00
撤収完了・退勤
meaasege
求職中の方に
メッセージ
ものづくりに興味のある人であれば、きっと楽しめる仕事だと思います。ただ、限られた製作期間のなかで、しっかりとクオリティを担保したものづくりが求められるので、“時間とクオリティのバランス感覚”が大切です。丁寧なだけでもダメ、早いだけでもダメ。“プロ”としてのものづくりが求められます。最初は難しいかもしれませんが、日々の製作のなかでその感覚を磨いていきましょう!