濱本 綾香

自分たちの仕事が
こんなにも
幸せを生む

#04

劇場部 衣裳課
衣裳係濱本 綾香

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Chapter 01

衣裳をつくっているときが一番楽しそう

宝塚大劇場、東京宝塚劇場、外部公演を含む、宝塚歌劇で使用する衣裳を担当するのが衣裳課だ。衣裳課の仕事は主に公演業務と製作業務の2つ。公演業務は出演者の着替えをサポートし、短時間で早替えをする方法の検討や、公演中の衣裳メンテナンスを行います。製作業務は、⼥物(娘役の衣裳)・男物(男役の衣裳)・外注内製・帽⼦・靴・床⼭・衣裳管理・事務所の8つのグループに分かれて、1公演につき600点を超える衣裳を日々準備しています。濱本さんは2010年入社。製作はもちろん、公演のトップスターの担当も経験している中堅スタッフだ。「中学・高校と創作ダンスをしていて衣裳も担当していのですが、父に『綾香は衣裳をつくっているときが一番楽しそうだから家政科に行ってみたら?』と言われたことをきっかけに、服飾関係の学校に進学しました」と話します。在学中は材料学や洗剤などの界面科学について学んでいたという濱本さん。製作の仕事に就きたいと希望していたが、当時はリーマンショックによる就職氷河期。服飾系の会社に100社エントリーするも、全て落ちてしまったという。「こんなにお祈りされたら、私このまま仏になってまうかも〜って笑いながらも、結構ショックでしたね」と当時を振り返ります。そんなとき、ゼミの友人に宝塚舞台の衣裳課の求人について教えてもらったという。母の友人が宝塚の卒業生だったり、祖母が美容師で宝塚を受験する生徒のお世話をしていたりと、幼い頃から宝塚にふれていたことから迷わず応募し、無事内定をもらうことができたといいます。

Chapter 02

自分たちの仕事が、こんなにも幸せを生む

「入社してすぐは先輩たちのプロ意識の高さに圧倒されました。100余年を超える伝統を今に残し、紡いでいくことにも興味があったので、先輩たちはどんな点を大切に仕事に取り組んでいるのかをよく聞いていました」と濱本さん。「あと、お客様の生の声を聞くのも好きで、定期的にチケットを購入して客席でお客様と一緒に舞台を見ていました。お帰りの際に『あのお衣裳似合ってたよね〜』とか『あの帽子ってどうなってるんかな』と、お客様の感想を漏れ聞いたり、始まる前と帰る際の表情や足取りの軽やかさの違いを肌で感じられるんです。こんなに観る人を幸せにする舞台に関われているんだ、と実感して、また明日も頑張ろうって思えるんですよね。だからこそ、新人研修ではお客様をお迎えするところから、お見送りするまでの流れも入れてほしいって、上司には伝えているんです。自分たちが携わっている仕事がこんなにお客様を幸せにしていることを実感できる瞬間だから」と話します。限られた時間のなかで、出演者を美しく引き立てる衣裳を必要数揃えるのには、多大な労力と苦労があるだろう。でも、そんな苦労を微塵も感じさせない濱本さん。15年の間に挫折を感じたことはないのだろうか?

Chapter 03

「絶対帰ってきて」その言葉に救われた日

「7年目のとき、当時のトップスターの担当を任せていただきました。そんな大役を任せてもらえたことがとても嬉しくて。でも、付いてすぐの外部公演途中に、私が左の前十字靭帯を断裂してしまったんです」。病院での診断は要手術、全治9ヶ月。こんな故障した身体ではもう誰の役にも立てない、辞めるには良い機会なのかもしれないと、悩んだうえで退職を決意したといいます。そして、手術にむけ一人で先に帰る日。引き継ぎを済ませ、トップスターさんがショーの羽根を無事背負ったところを見届けて、帰る準備をしていた濱本さん。それを見たトップスターさんが急いで駆け寄り「早く怪我を治して絶対帰ってきて!それまで私も頑張って待ってるから!」と声をかけてくれたといいます。「その言葉がとても嬉しかった。私も誰かのお役に立ててたんだって…」。自分の仕事を認めて待っていてくれる人がいる。その言葉は濱本さんの何よりの支えになったといいます。その後、すぐに手術を受けた濱本さん。リハビリを頑張り、全治9ヶ月だったところをなんと7ヶ月で復帰。再びトップスターの担当に戻ることに。「彼女の言葉がなければ、あの時にきっと辞めていたと思います」と濱本さん。入社7年目でトップ付きになったこともあり、経験や引き出しの少なさに苦労することも多かったといいます。「でも、そんなときは知ったかぶりせず、分からないことは分からないと正直に伝えて、先輩方に知恵をお借りしたり、たくさんの方に助けていただきました。そのおかげで、彼女の卒業公演まで無事見送ることができたと思います。2010年に入社し、中堅になった今は、これまでたくさんの方に助けていただいた分、これから入ってくる後輩に寄り添っていけたらと思っています」と話してくれた。 

time schedule

タイム
スケジュール

<製作業務日の場合>

  • 09:30

    出勤・係でミーティング

  • 09:35

    製作・調整等

  • 11:50

    昼休憩

  • 12:50

    製作・調整等再開

  • 15:00

    適宜休憩

  • 18:20

    片付け等

  • 18:30

    退勤

<公演業務日(2回公演)の場合>

  • 09:30

    出勤・係でミーティング

  • 09:35

    製作・調整等、洗濯物のチェック

  • 10:30

    舞台袖に集合・公演準備・出演者の着替えサポート

  • 11:00

    第1幕開演 衣裳替えサポート業務

  • 13:00

    第1幕終演 衣裳片付け~出演者の着替えサポート

  • 13:30

    第2幕開演 衣裳替えサポート業務

  • 14:00

    終演 衣裳片付け

  • 14:10

    昼休憩

  • 15:10

    公演準備・出演者の着替えサポート

  • 15:30

    第1幕開演 衣裳替えサポート業務

  • 16:30

    第1幕終演 衣裳片付け~出演者の着替えサポート

  • 17:00

    第2幕開演 衣裳替えサポート業務

  • 18:30

    終演 衣裳片付け

  • 19:00

    退勤

meaasege

求職中の方に
メッセージ

憧れだけで入社してしまうと、ギャップや驚くこともたくさんあると思います。でも、衣裳を通じてお客様に感動をお届けすることができるとてもやりがいのある仕事です。想像以上に体力も必要ですが、やりがいや達成感を感じる瞬間も多くて、毎日が充実しています。お仕事で達成感を味わいたい方に向いていると思います。

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