木谷 和帆

できない理由を
探すのではなく
どうしたらできるか
を考える

#03

劇場部 宝塚照明音響課
電飾係木谷 和帆

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Chapter 01

高い志があったわけじゃない

「電飾係は“電”気を装“飾”するというその名の通り、舞台装置に電球やLEDなどの取り付けを行っています。みなさんがよく目にするものでわかりやすいのは、作品の最初に降りてくるタイトル文字や、光のカーテンのように空間を照らす吊り電球などでしょうか。」そう話すのは2015年入社の木谷さん。学生時代は電気系を専攻し、卒業後、照明係に1年半所属し、その後電飾係に配属された。就職活動当時のことを尋ねると「実は宝塚には全然興味がなかったんです」と笑います。「求人票を見ていたら、宝塚舞台の求人にふと目が止まって。当たり前なんですが電気系の学校への求人って、電気工事系の会社からがほとんど。“舞台”ってどんな仕事があるんだろう…と自分で調べ始めたことがきっかけです」と当時を振り返ります。「だから恥ずかしい話、入社前は宝塚でこんなことをしたい!という高い志があったわけでもないんです。毎回作品が違うからやることも変わりそうだし、スポット照明ってなんかかっこいいなとか、宝塚やったら従業員も多いし無くなることはないだろう…程度の考えだったと思います。全く知らない世界だったからこそ飛び込めたのかも」と話します。

Chapter 02

できない理由を探すより、
できる方法を
考えたい

そんな入社から10年。今でこそ電飾係として9年のキャリアを積んだ木谷さんだが、転属後のギャップはなかったのだろうか?「社内の人でも“電飾って何してるんやろ?”って思っている人も多いんやないですかね。僕も最初はどんなことをするか明確なイメージはありませんでした。実際に仕事をしてみて驚いたのは、部品から自分たちでつくるってこと。ずっと市販のものを購入して使っていると思ってました(笑)」と木谷さん。宝塚で多用される電球が等間隔に付けられた通称「タコ吊り」という電飾も、装置に張り巡らされたLEDの配線や制御システムも、イチから自分たちでつくっているというから驚きだ。「このシーンではこの場所だけをこんな感じで光らせたい、その後のシーンではゆっくりと消したい」など、お客様に見せたい表現を実現するには、逆に市販のものでは対応できないのだ。「次の製作がスタートする際、必ず演出家やデザイナーと打ち合わせをするんです。ここはこういう光がいい!とか、こんな光らせ方はできるか?などの確認作業があって。その際に心がけているのは、“まずはできる方法を考えること”。時間がかかるとか、工程が多いからと“できない”理由を探すのではなく、“どうしたらできるか”をまず考えるようにしています」と木谷さん。装置係が土台をつくり、背景係が色を塗り、大道具係が天井に吊り込めるように金具をつける。電飾係が電飾をつけるのは製作工程の一番最後だ。そんな限られた時間のなかでも、自分たちができる精一杯のことをやる。プロ意識の高さに頭がさがる。
「ま、それは絶対無理です!ってこともたまにありますけどね(笑)」と木谷さんは笑います。

Chapter 03

イチから
つくった電飾に光が灯る瞬間

電飾係は製作がメインで公演オペレーション業務がない。そんな彼らが舞台を見るのは、本番と全く同じ環境で全てのシーンを通して行う通し舞台稽古のときだ。「イチから自分でデザインを引き、仕込んだ電飾に光が灯り、舞台の一つとなっている瞬間は毎回感動します。実は舞台って電飾量が多いほどキレイに見えるわけじゃないんです。装置や出演者を際立たせるような“バランス感”が大切で。どうしたらもっと美しく見えるか試行錯誤しながらつくった電飾が、客席から見たときにバチっと決まっていたとき”ああ、やっぱりあの選択にしてよかった”と安心します。逆に『あんなに手間がかかったのに、そこまで効果的やなかったな…』と反省することもあって、まだまだ経験が足りないなって実感することもあるんです」と木谷さん。今後の目標を聞くと、「新しいことにどんどんチャレンジして経験を重ねていきたい。そして電飾としての目と技術力を養って、「木谷がそう言うんやったら、そうしよう!」と迷わず思ってもらえるような安心感を与えられるような人材になりたい」と話してくれた。キレイな舞台をつくりたいというプロ意識が、あの美しい世界をつくりあげているのだなと実感した。

time schedule

タイム
スケジュール

  • 09:30

    出勤・係でミーティング

  • 09:35

    作業開始

  • 12:00

    昼休憩

  • 13:00

    作業再開

  • 18:10

    掃除・片付け

  • 18:30

    退勤

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求職中の方に
メッセージ

「電飾」っていう文字だけで見ると、ハードルが高いんじゃないかと思われがちですが、そんなことはありません。電気についての知識がなくても、イチから学ぶことができる仕事です。実際に未経験で入社して、活躍しているスタッフもいます。自分たちで一つひとつ組み上げた電飾が、舞台でパッと輝く瞬間は何度見ても感動します。

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